アンチ-ロマンチシズムと文学との幸福な共存を謀ります。当面、「炭鉱のカナリア」になる決意をしました。第二次安倍政権の発足以来、国民は墨を塗られるだろうと予測していましたが、嫌な予感が現実になりつつあります。日本人の心性や「日本国憲法」の問題などを取り上げながら、自分の明日は自分で決めることの大切さを、訴えていきたいと思います。
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「天賦」というのは天が与えたという意味ですが、それは人権は国から与えられたものではなく、誰もが生まれながらに持っているものだという意味です。与えた誰かを強いて表現すれば、天が与えたようなものだという一種の比喩に過ぎません。ですから、キリスト教社会ではない我が国の歴史、文化、伝統と相容れないと考えるべきではないのです。
(『憲法は誰のもの?』伊藤真,p18)

自民党の「憲法改正草案」が、「天賦人権説」を有名無実化するために根拠としているのは、結局、日本の「歴史、伝統、文化」である。
(西欧が掲げる)「普遍」に対して、日本の「独自」や「特殊」を持ち出して、いわば‘日本人らしい人権’という不可解なものを、捏造しようとしている。
自民党の胡散臭い言動のあるところ、またしても「伝統」ありだという事を、ここでも確認しよう。
誤魔化されてはいけない。

才能ある日本人が、ダルビッシュでも田中将大でもいいが、「天賦の才」を持っているという時、単に「生まれつきの」、「生得の」という意味で「天賦」という語を使っているのであって、「天」がキリスト教の神か天照大神か大日如来か等という事を、いったい誰が問題にするだろうか??
それを問題にするということは、「天賦」という語の意味をねじ曲げているわけだ。
「天賦人権説」にわざわざ「西欧の」と、ことわりを付ける、自民党の隠れた意図に、注意を払いたい。

それにしても開米という人は、よほど前向きな考えの持ち主なのか。自民党の「改正草案」は天賦人権説を否定していない、だから安心です、と解説する楽天的な記事を書いている。(→開米瑞浩「憲法改正デマ」(4)

開米氏の記事は、片山さつき議員の狡猾さを知るには意味がある。
しかし、「改正草案」第11条に、
国民は、全ての基本的人権を享有する。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利である。
と書かれているから安全だ、というのは、「普遍」対「特殊」という自民党の「文脈」を見ていないのである。

開米氏が「改正草案」は安全だとする理屈は、次のようなものだ。
まず、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」という現行憲法第11条の、不自然な受動態が英文翻訳に起因する事から始まる。
次に、“confer”という英単語は“格上の者から格下の者への「与える」ということなのです”とし、“この場合「格上の者」とは明らかに「神」です”と進め、「神の下の平等」という観念を下敷きにしていると指摘。
そうやって、現行憲法の条文の上に、「キリスト教圏」における「人権概念」の残存を見出そうとしている。
だから「改正草案」は、「キリスト教圏」ではない日本で、キリスト教的なものの残存を取り去り、日本人にとって「自然な文章に直した」だけだ、と・・・。

しかし、開米氏の好意的解釈とは違って、自民党の目論見は次のとおりであろう。
「天賦人権」は元々、人種や民族に関わらない「普遍」的なものであることを、ねじ曲げたい。
その「普遍」を表現する際に、「明記」されてないキリスト教的価値がオマケのように付属していた。
そのオマケが日本に馴染まないから取っ払い、真に「普遍」的な文言に書き換える。
と見せかけ、「改正」のドサクサに紛れて、「普遍」的なものを日本の「特殊」で変質させる・・・。
こんな手の込んだことをするより、日本人には「普遍」的価値は相応しくないと、代議士達はハッキリ言ってみたらどうか?
国民に拒否されるから、誤魔化す必要があるのだろう。)

その目論見を明かし立てる証拠として見逃せないのが、
権利は、共同体の歴史、伝統、文化の中で徐々に生成されてきたもの
という「改正草案Q&A」のなかの、珍妙な「権利」観だ。

神の子池+青い2_convert_20140212202136

Q14「日本国憲法改正草案」では、国民の権利義務について、どのような方針で規定したのですか?
(p13,PDFの19枚目-『日本国憲法改正草案Q&A増補版』→ダウンロード
Q14の答の一部
「また、権利は、共同体の歴史、伝統、文化の中で徐々に生成されてきたものです。したがって、人権規定も、我が国の歴史、伝統、文化を踏まえたものであることも必要だと考えます。現行憲法の規定の中には、西欧の天賦人権説に基づいて規定されていると思われるものが散見されることから、こうした規定は改める必要があると考えました。」

ここで自民党が主張する「我が国の歴史、伝統、文化」とは、如何なるものなのか?
こういう曖昧で明確にするのが困難なものを「踏まえ」て、「人権規定」をしようというのである。
「伝統」が人権制約の口実に使われると、考えない訳にはいかない。私が言う自民党の「文脈」とは、このことだ。
将来、大きな問題が起こった時、「日本研究」の分野の研究者が、「御用学者」として起用されるのだろう。本居宣長研究の長谷川三千子氏は、その先鞭みたいなものだ。

しかし、日本人には、国家による人権侵害が行われた時、救済を求める機関もない。
ストラスブールの「欧州人権裁判所」は、EUの人々のためにある機関だ。
これほど手厚い人権保障を、EU加盟国の国民は受けられて、かたや、極右勢力に内心の自由まで制限される日本人は、貧相な人権で一生を送らねばならないのだろうか?
同じ人間なのに。

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[2014/02/12 20:35] | 憲法問題
トラックバック:(3) |

固有の歴史、文化、伝統をありがたく思え
りくにす
いつも興味深く拝見しております。
そうやって人権をどんどん後退させていくのですね。
しかし「天賦の人権」を認めるだけで崩壊する「伝統」とか「国体」ってどんなもんでしょう。西欧の心ある人に堂々と主張できない伝統は誇るに値しないと思います。もっとも、それを「キリスト教価値を押し付けようとしている」という主張も可能なのですが。
最近国学に少し興味が湧いてきたのですが、なんだか気色悪くて。朱子学的価値観のほうがましな気がしますが、これだけ嫌韓的言説がはびこっているとこれに取り組もうという人はいないでしょうね。
本当の狙いは戦時体制かもと思いますが、そうなると日本の娯楽やグルメや伝統工芸は大きなダメージをこうむると思います。観光客も来なくなるから世界遺産をいくつ抱えてても意味ありません。こちらの「伝統」をダメにして滅私奉公の「伝統」だけで戦争をする意味がよく分かりません。
「日本の伝統」を喧伝する人は本当は自信がないのかな、と思ったりします。

Re: 固有の歴史、文化、伝統をありがたく思え
小谷予志銘
りくにすさんへ

「国学」への興味というのは、ど真ん中だと思います。今後、安倍政権の思い通りに憲法「改正」が進められるならば、そういう知識が必要になってきます。
経済学や憲法の「御用学者」の次には、「国学」を中心とした日本研究の「御用学者」が、人心を飼い慣らそうとするでしょう。
それに対抗するためには、「国学」を含めた日本の「歴史・伝統・文化」について、こちらが多くを知っておく必要があります。

といっても、「なんだか気色悪」いですね。本居宣長なんて、コンプレックスの固まりで、自分をなだめるために、執念深く「人工物」を造り上げたという感じです。だから私は、宣長を読むのが苦痛です。

自民党の先生方は、富国強兵と戦争に邁進したあの時代の「伝統」しか、理解できないんじゃないでしょうか?
国家神道一色に染まり、その他の「文化」は途絶えた時代です。
自民党の言う「歴史・伝統・文化」の「中身」を、問いただす必要がありますね。

空海も利休も芭蕉も、日本の「伝統」を創ってきた人々は、個人として際立っています。だから、個人が善く生きる方向へ背中を押してくれます。
しかし、あの先生方は、「個」が如何に生きるかという闘いには興味が無く、「全体」に埋没して、みんな一緒に死にたいんでしょう。
そういう「暗い欲望」を指摘してあげても、逆ギレするだけで認めないでしょうが。

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この記事へのコメント:
固有の歴史、文化、伝統をありがたく思え
いつも興味深く拝見しております。
そうやって人権をどんどん後退させていくのですね。
しかし「天賦の人権」を認めるだけで崩壊する「伝統」とか「国体」ってどんなもんでしょう。西欧の心ある人に堂々と主張できない伝統は誇るに値しないと思います。もっとも、それを「キリスト教価値を押し付けようとしている」という主張も可能なのですが。
最近国学に少し興味が湧いてきたのですが、なんだか気色悪くて。朱子学的価値観のほうがましな気がしますが、これだけ嫌韓的言説がはびこっているとこれに取り組もうという人はいないでしょうね。
本当の狙いは戦時体制かもと思いますが、そうなると日本の娯楽やグルメや伝統工芸は大きなダメージをこうむると思います。観光客も来なくなるから世界遺産をいくつ抱えてても意味ありません。こちらの「伝統」をダメにして滅私奉公の「伝統」だけで戦争をする意味がよく分かりません。
「日本の伝統」を喧伝する人は本当は自信がないのかな、と思ったりします。
2014/02/13(Thu) 12:01 | URL  | りくにす #NLBrSPSs[ 編集]
Re: 固有の歴史、文化、伝統をありがたく思え
りくにすさんへ

「国学」への興味というのは、ど真ん中だと思います。今後、安倍政権の思い通りに憲法「改正」が進められるならば、そういう知識が必要になってきます。
経済学や憲法の「御用学者」の次には、「国学」を中心とした日本研究の「御用学者」が、人心を飼い慣らそうとするでしょう。
それに対抗するためには、「国学」を含めた日本の「歴史・伝統・文化」について、こちらが多くを知っておく必要があります。

といっても、「なんだか気色悪」いですね。本居宣長なんて、コンプレックスの固まりで、自分をなだめるために、執念深く「人工物」を造り上げたという感じです。だから私は、宣長を読むのが苦痛です。

自民党の先生方は、富国強兵と戦争に邁進したあの時代の「伝統」しか、理解できないんじゃないでしょうか?
国家神道一色に染まり、その他の「文化」は途絶えた時代です。
自民党の言う「歴史・伝統・文化」の「中身」を、問いただす必要がありますね。

空海も利休も芭蕉も、日本の「伝統」を創ってきた人々は、個人として際立っています。だから、個人が善く生きる方向へ背中を押してくれます。
しかし、あの先生方は、「個」が如何に生きるかという闘いには興味が無く、「全体」に埋没して、みんな一緒に死にたいんでしょう。
そういう「暗い欲望」を指摘してあげても、逆ギレするだけで認めないでしょうが。
2014/02/13(Thu) 15:21 | URL  | 小谷予志銘 #-[ 編集]
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